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ベニ『黒龍が眠ったら、お母さんは買い物に行ってくるからね。
帰ってきたらすぐに夕飯を作るから。
桃歌はたぶん遅くなるだろうけど、お母さんが帰ってくるまでおとなしく待っててね』
そう言い、優しく黒龍の頭を撫でた。
コクリュウ『わかった―…‥。待っ……て…るぅ―…‥』
と眠そうに言うと、眠りに着いた。
紅はしばらく愛しそうに黒龍の頭を撫でていた。
すると紅の頬から一粒【ヒトツブ】の滴【シズク】が溢【コボ】れた。
が、右手で力強く拭うと瞳には決意に満ちた光を宿【ヤド】し、玄関から出ていった。
………………………
…………………
……………
………
…
コクリュウ『うぅ~…‥。お母…さん―…‥?』
黒龍が目を覚まし、窓の外を眺【ナガ】めると、夕日が空を茜色に染めていた。
コクリュウ『お母さん―…‥?何処―…‥?』
さすがに紅ももう帰って来ていると思って、また呼んでみるが返事はない。
不安になってキッチンに向かったが、紅の姿はなくいい匂いがするだけだった。
コクリュウ『えっ―…‥?』
テーブルの上にはグラタンが置いてあり、コンロの上には鍋【ナベ】に入ったカレーが置いてあった。
コクリュウ『なんで―…‥』
(だって、
{ベニ}『今日はグラタンで、明日はカレーにしようね』
って………。カレーが何であるの―…‥?)
黒龍の頭に嫌な予感が過【ヨギ】る。
いそいで外に出て辺りを見回【ミマワ】すと、
ドドォォォ――――ン―…‥
異時【コトトキ】山の方から大きな爆発音【バクハツオン】が聞こえてきた。
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