▽ハジマリ▼

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ベニ『黒龍が眠ったら、お母さんは買い物に行ってくるからね。 帰ってきたらすぐに夕飯を作るから。 桃歌はたぶん遅くなるだろうけど、お母さんが帰ってくるまでおとなしく待っててね』 そう言い、優しく黒龍の頭を撫でた。 コクリュウ『わかった―…‥。待っ……て…るぅ―…‥』 と眠そうに言うと、眠りに着いた。 紅はしばらく愛しそうに黒龍の頭を撫でていた。 すると紅の頬から一粒【ヒトツブ】の滴【シズク】が溢【コボ】れた。 が、右手で力強く拭うと瞳には決意に満ちた光を宿【ヤド】し、玄関から出ていった。 ……………………… ………………… …………… ……… … コクリュウ『うぅ~…‥。お母…さん―…‥?』 黒龍が目を覚まし、窓の外を眺【ナガ】めると、夕日が空を茜色に染めていた。 コクリュウ『お母さん―…‥?何処―…‥?』 さすがに紅ももう帰って来ていると思って、また呼んでみるが返事はない。 不安になってキッチンに向かったが、紅の姿はなくいい匂いがするだけだった。 コクリュウ『えっ―…‥?』 テーブルの上にはグラタンが置いてあり、コンロの上には鍋【ナベ】に入ったカレーが置いてあった。 コクリュウ『なんで―…‥』 (だって、 {ベニ}『今日はグラタンで、明日はカレーにしようね』 って………。カレーが何であるの―…‥?) 黒龍の頭に嫌な予感が過【ヨギ】る。 いそいで外に出て辺りを見回【ミマワ】すと、 ドドォォォ――――ン―…‥ 異時【コトトキ】山の方から大きな爆発音【バクハツオン】が聞こえてきた。
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