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黒龍は急いで音がした異時【コトトキ】山を見る。
異時【コトトキ】山の上空【ジョウクウ】は黒雲【コクウン】が覆っていて、
山からは煙が立っていた。
コクリュウ『お母さん!』
黒龍はそう言うと、紅が異時【コトトキ】山にいるとは限らないのに、
自分の本能のままに異時山に向かって走り出した。
……………
………
…
ハァハァハァ
コクリュウ(お母さん、何処にいるの?)
異時【コトトキ】山の入り口に到着し、周りを見回したが、
紅の姿【スガタ】どころか黒龍以外の人影すらない。
コクリュウ(山の中かな……でも入っちゃダメってお母さんもお父さんも言ってたし……)
紅と、紅の夫・桃歌と黒龍の父親、柏【ハク】は、
桃歌と黒龍に迷ってしまうかもしれないので、
どんなことがあっても異時山に入ってはいけないと注意していた。
基本的に人の迷惑にならない程度なら何をしてもよかったので、
ここまで念を押す両親を不思議に思ったものだった。
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