▽ハジマリ▼

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黒龍は急いで音がした異時【コトトキ】山を見る。 異時【コトトキ】山の上空【ジョウクウ】は黒雲【コクウン】が覆っていて、 山からは煙が立っていた。 コクリュウ『お母さん!』 黒龍はそう言うと、紅が異時【コトトキ】山にいるとは限らないのに、 自分の本能のままに異時山に向かって走り出した。 …………… ……… … ハァハァハァ コクリュウ(お母さん、何処にいるの?) 異時【コトトキ】山の入り口に到着し、周りを見回したが、 紅の姿【スガタ】どころか黒龍以外の人影すらない。 コクリュウ(山の中かな……でも入っちゃダメってお母さんもお父さんも言ってたし……) 紅と、紅の夫・桃歌と黒龍の父親、柏【ハク】は、 桃歌と黒龍に迷ってしまうかもしれないので、 どんなことがあっても異時山に入ってはいけないと注意していた。 基本的に人の迷惑にならない程度なら何をしてもよかったので、 ここまで念を押す両親を不思議に思ったものだった。
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