一つの事実

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「おーい、なんか見つかったかー?」 「全然…そっちはー?」 「こっちも何もないよー」 「…ない、な」 暗い部屋を探し回る姿。 最初の予定通り職員室へとやってきた四人は携帯の小さな明かりで色々な所を探していた。 「はぁ…せめて明かりがつけられたらな…」 「文句言うな。明かり点けてさっきの奴らのトランプを奪ったっつー奴が来たらアウトなんだからな」 「それはそうなんだケドさ…でもこれじゃ目ぇ悪くなっちまうよ」 「少しは我慢しろって…ん?」 ふと目を落とすとそこには「学校だより」と書かれた一枚のプリントがあった。 「桜、どうかした?」 「これ…学校名が書いてある」 「え!マジ!?」 二人は別の場所にいた晴夏と信を呼ぶと、持っている紙に携帯の光を当てた。 「で?学校名なんて書いてあるんだ?」 「ちょっと待て。えーと…『市立霧嶺高等学校』…」 「どっかで聞いた事ある気がするわね」 「…霧嶺…?」 怪訝そうな表情を浮かべる信に三人は顔を向けた。 「信、知ってんの?」 「知ってるというか…ニュースでやってただろう。半年位前に屋上から飛び下り自殺した生徒が居ると」 「えー…?あったっけ…?」 「最近自殺する奴多いからなぁ…。良く覚えてんな?」 「…少し変わってたからな」 「変わってたって…」 首を傾げながら聞くと、信の次の言葉は予想もしない言葉だった。 「その自殺した生徒が飛び下りた場所には揃えられた靴。遺書。それと…一枚足りないトランプが置いてあったそうだ」  
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