一つの事実

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「お、いーもん見ぃーつけたっ!」 直樹は落ちていた紙を拾うとそれを桜たちに見せる。 「学校の見取り図…何処にあったんだこれ?」 「ん?そこに落ちてたぜ?」 見ると辺りにはプリントや本が散らばっていた。 恐らくどっかから一緒に落ちたのだろう。 「…コレは三人の内誰か持ってれば良いだろ」 「信は見ないのか?」 「もう覚えたからな。必要ない」 そうあっさりと言ってのけると、三人は互いに顔を見合わせ見取り図に目を落とす。 「…食堂はどこ?」 「一階の渡り廊下を渡ってまっすぐ行って左側」 「三年三組」 「職員室の真上」 「科学第二室!」 「一旦外に出て向かいの校舎左にある入り口入ってまっすぐ」 再び三人は顔を見合わせた。 どの場所も信の言った通りだからだ。 「…ホントに覚えてんだなー…」 「まぁ…勉強とかしか取り柄がないからな」 「でも凄いよ!今度勉強教えて!」 「あ!東雲ズリぃ!信俺にも教えてくれ!」 「…あ…あぁ……」 「…っつーかさ、緊張感ないよね俺ら」 桜の言葉に三人が桜を見ると桜は苦笑いを浮かべる。 「ん?」 「だってさ、生きるか死ぬかの瀬戸際で勉強教えてって…ある意味凄い余裕だなと」 「あー…だってさ、結構このメンバー凄くないか?なんせ頭の良い信に、空手やってる俺と東雲。…桜は……」 桜を見てしばらく直樹は考える。 「………?」 「何もねぇのかよっ!?」 「中山くん、あぁ見えて桜はツッコミが凄いわよ」 「良し!ツッコミが凄い!」 「今関係ない所か必要ない!」 「おぉ…!ホントだ。桜!俺とコンビ組もうぜ!」 「だから今そんな話してる場合かっつの!」  
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