一つの事実

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「ところで今何時だ?」 「え?えーと…八時二十分だね。もうこんな時間なんだ…」 そう言いながら晴夏が携帯を閉じると、何かに気付いたのか「あ」と呟く。 「…思ったんだけど…コレで家に連絡出来ないかな……」 そう言って差し出したのは、ついさっきまで使っていた携帯電話。 「そ…そっか!文明の利器!携帯電話!」 晴夏の言葉に全員が携帯を開き電話をかける。 「お願いだから繋がってくれよ~…!」 何度かコール音が聞こえる。やけに心臓が大きく動いている気がするが気にしない。 それから更にコール音がなり、「プツっ」と音を立ててコール音は途切れた。 「!?かかっ…!」 『…おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめの上、もう一度おかけなおし下さい…』 全員が、無言で電源ボタンを押した。 「…誰かかかったか?」 「あたし駄目だった…」 「俺も~」 「…俺もだ」 「くっそ!携帯も役にたたねぇ!…って待てよ?携帯が使えないって事は俺たちも連絡取れないって事か…?」 直樹の言葉に静寂が流れる。 「だっ…!大丈夫じゃね!?」 「そうだよ!大丈夫大丈夫!」 「じゃあ試しに電話してみようぜ」 そういって直樹は会った時に交換した番号へとかけた。  
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