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「さて、どうしようか…」
理科室に着いた二人はまず使えそうな物を探す。
桜は掃除用具入れから箒を出し、信は棚からいくつかの薬品を取り出した。
「それら混ぜんの?」
「あぁ。薬品は一歩間違えると危ないが上手く使えば攻撃も防御も出来るしな」
そう言いながら手際よく薬品を混ぜ合わせていく信。あっという間にいくつか完成した様だ。
「…こんなもんかな」
様々な小ビンに入っている液体。
信は溢れない様に蓋をしっかり閉めるとポケットに入れた。
「もう出来たのか?」
「あぁ。まぁ即効で作ったから余り効果はないだろうが…ないよりマシだからな」
「どんなん作ったんだ?」
「…こっちが床に撒いて相手を滑らすやつで、こっちが小さい爆発を起こすやつ」
「ばっ…!爆発!?」
「…安心しろ。こっちはよっぽどの事がなけりゃ使わない」
そう言って再びポケットにしまう様子を見て桜は安心した様に息を吐き出した。
「出来れば使わないで抜け出したいもんだ…でもあっさりこういうの作るなんてホント頭いーよな」
「…頭が良いからってそれが良いとは限らないさ」
そう呟く信を見て、桜は先ほどの様子の事を聞けると思い口を開く。
「…信は、自分が頭良いって思われるのイヤなのか?」
その質問に信は多少の驚きを見せるが桜はしっかりと信を見据えた。
「…なんでそう思う?」
「なんでっつーか…さっき、仲水の名前が出た時も嫌そうだったし…」
「…別に、これは俺が努力して得た物だからそれを嫌だと思った事はない。…ただ仲水高と聞くと大抵が嫌な顔をするからな」
「へ?そりゃなんでまた…」
「仲水はトップクラスの学校だからな。大抵の奴が他の高校を見下してるんだ。だから、仲水は頭が良いからって人を見下す学校だって言われてるんだ」
「確かにそりゃイヤな顔されっかもなー…」
「まぁ別に良いんだ。他人からそう言った目で見られるのは慣れてるし…」
「でも、信は良い奴だよな」
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