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「何言ってんだ?お前らちゃんと読んだのか?」
読んだ…と言う事はルール説明が書かれている紙の事だろう。
二人はポケットから紙を取り出すと隅から隅まで読み始める。
「………?」
「しっかりと書いてあるだろ?『但し、マークを集めて脱け出す場合は八名までとする』って」
桜と信は互いに顔を見合せ、再び紙へと目を落とす―――が、やはりそんな言葉は書いていない。
「…そんなのどこっ」
言葉の途中で信に口を押さえられる。
どうやら「言うな」と言う事らしい。
「…成る程?それでお前はダイヤを後一枚って事か?」
「ヘェ、集めてるモンまで知ってんのか。そうだ、後一枚で俺は抜け出せるんだ。さ…お前らの数とマークを教えて貰おうか?」
「…なら、一つ聞いて良いか?」
「あ?」
「お前…霧嶺高校の生徒だろ?」
「!」
「え?」
桜は信の言葉に驚くが、信はそのまま言葉を続けた。
「…どうして知ってる?」
「別に…その校章に見覚えがあったからな」
そう言って信が指さしたのは胸元にある校章。
「成る程な…で?俺が霧嶺だからどうかしたか?」
「半年前に自殺した生徒を知っているか?」
一瞬にして雰囲気が変わる。
「テメェ…あいつの知り合いか何かか?」
「…いや、違う」
「ならなんでアイツの事なんか聞きたがるんだ」
「今回のゲームに関係してると思ったからだ。その様子だと…何か知ってるな?」
そう言った瞬間、相手は桜たちへと向かい走ってくる。
「信!もしかしなくても地雷踏んだんじゃねぇの!?」
「みたいだな。とにかく今は逃げ…!」
急に足の感覚がなくなり、信の体が崩れ落ちる。
「!?」
慌てて信を引っ張ると捕まえようとした相手の手は空を切り、桜はそのまま脇に抱えて走り出した。
「大丈夫か!?」
「悪い…さっきから走り通しだったから体力が…」
「信って体力ないのか?」
「…ずっと勉強ばっかだったからな」
「じゃあ…悪いけど晴夏か直樹に連絡してくれね?流石にこのままじゃ辛い」
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