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二人と別れた後、晴夏と直樹はペアとなる相手を探そうと廊下を歩いていた。
「あー…にしても何処に居るんだろうなぁ他の奴らは?」
「一人くらいは廊下を歩いてても良さそうなのに…やっぱり、トランプ奪ってる人の事が広まってるのかな」
「だとしたら皆隠れるだろうなぁ…そう言えば、桜って運動出来んの?」
「んー…運動は出来るけど多分あたしと桜が勝負したらあたしが勝つよ」
「成る程…って事は、もし向こうがトランプ奪ってる奴に会ったらヤバい…か?」
「大丈夫。桜、運動は出来るって言ったでしょ?足が速いからきっと逃げられるよ」
「そっか。まぁなんかあったら電話してくんだろ」
そんな事を話しながら角を曲がると直樹は何かとぶつかる感触を覚える。
「あ、わり…」
ふと顔を下へ向けるとそれは小さな女の子の姿。
「いえ…あの…あなた達もゲーム参加者ですか?」
「うん、そうだよ」
「なら…どこかでトランプを奪ってる人を見ませんでした?」
「え?見てない…よね?」
晴夏が直樹に訊ねると直樹は小さく頷き、その様子を見て「そうですか」と肩を落とした。
皆会わないように逃げているのに目の前の女子生徒はわざわざ探しており、それに少し焦っている様にも思え二人は不思議に思える。
「でも…なんで探してるの?見つかったらトランプ奪われちゃうんだよ?」
そう晴夏が訊ねると、女子生徒から返ってきた言葉は意外な言葉だった。
「あたしは…もう…トランプを奪われちゃったんです…」
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