晴夏と直樹

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「酷い…」 砂梛が話終えると、重い静寂の中で晴夏がぽつりと呟いた。 その言葉は静まり返った廊下に響き渡り、言葉に出来ない苦さが直樹と砂梛の胸中に走る。 「っそ…!一体人の命をなんだと思ってるんだソイツはよ!」 「…だから、私は早くトランプを取り返さなきゃいけないんです。あの人がトランプを三枚集めたら…私は死んでしまうから」 ルール上奪った相手が勝者か敗者になった場合、奪われた者は死んでしまう。 つまり、それは勝者か敗者になるまでは生き残れるという事。 「…良し!宮下俺らと一緒に行動しろよ!」 「え?」 「うん、その方が良いかも。一人で居るより何人かで動いた方が安心だし、その奪った人を見つけやすいと思うんだ」 「そ…そんな危ない事に二人を巻き込むわけには…!下手したら二人もトランプを奪われてしまうかも…」 「大丈夫!タダでは渡さないしこっちには天才がいるもんな」 直樹がそう言うと晴夏は何度も頷いた。 確かに、一人では不安がある。 砂梛は少し考えるとその申し出を有り難く受けた。 「じゃあ、二人に連絡しようぜ。新たな仲間が出来ましたって」 「そうだね」 晴夏は桜に連絡しようと携帯を取り出すとタイミング良く携帯が震える。 画面を開くとそこには信の名前が表示されていた。 「はい、もしも…」 『東雲か?助けてくれ』 「えっ?」 突然の助けを求める声に晴夏は直樹と顔を見合せた。  
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