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「大和、やまとっ!」
「兄上?」
少年は、ふいに呼ばれて顔を上げた。
まだあどけなさの残る少年は、首を傾げ、きらきらとした瞳で兄を見上げる。
餌をやっていたのだろう、小鳥たちは足音に驚き飛び立ったあとだ。
「これから、菅原の屋敷へ行く。父上に供を頼まれたのだが、生憎用ができてな。代わりにお前が行け、よいな。」
「承知しました。」
「その…薫殿が来ておるのだ。」
そう言って兄…正平(まさひら)は照れたように苦笑いした。
「大和様~ッ!大和様~ッ!!」
「何だ、曽我部か?」
「御父上がお待ちになっておられます。お急ぎになって下さい。」
「分かった。みな騒がしいのぉ。」
大和は人なつっこい笑顔で笑った。
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