序章 1

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 僕と次郎先輩と花ちゃんの関係は複雑極まりない。  なにせ僕は花ちゃんのことが好きだし、次郎先輩も花ちゃんのことが好きで、花ちゃんはといえば僕の感触ではふたりに対してまんざらでもない好意を抱いていそうな感じだった。  この複雑極まりない関係性を竹田くんに相談したところ「それって三角関係って言うんじゃね?」という至ってシンプルな回答が返ってきたので僕はたまげてしまった。  当事者である僕はこの複雑な関係を、幾重にも交錯した運命だとか宿命だとか因果だとかそんな感じの、神様のいたずら的なドラマチックなものと思い込んでいたからだ。  しかしながらそんなものは幻で、竹田くんによって「三角関係」という一言で済まされる実にありふれたものであるということが発覚したのだ。
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