*03*

2/6
373人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
「だいたい、勝手すぎるわ! 何年ぶりに会いに来てくれたかと思えば、なによ?婚約?許婚?冗談じゃないわ! 母様、私がなにも知らないと思わないでね。 政略結婚なんて、まっぴらごめんよ! こんなの、横暴きわまりないわ!!」 きーっ、と、顔を真っ赤にして清春は食い下がる。 相変わらず京子は笑みを浮かべたまま、まくしたてる清春には動じないようで。 「相手は千明ちゃんなのよ、なにが不足なの。贅沢な子ね」 「千明の問題じゃないわ! 相手が誰でも、私は私の決めた人生を生きるの! 誰の指図も受けないんだから!!」 「ハルちゃん。あんまり聞き分けがないと、母さま怒るわよ」 にっこり笑っているのに、京子の声のトーンは確かに下がった。 それまで喚いていた清春の言葉が止まり、彼女は恐ろしさにびくりと後ずさる。 顔が菩薩なだけに、京子のプレッシャーは怖い。 _
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!