373人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
「だいたい、勝手すぎるわ!
何年ぶりに会いに来てくれたかと思えば、なによ?婚約?許婚?冗談じゃないわ!
母様、私がなにも知らないと思わないでね。
政略結婚なんて、まっぴらごめんよ!
こんなの、横暴きわまりないわ!!」
きーっ、と、顔を真っ赤にして清春は食い下がる。
相変わらず京子は笑みを浮かべたまま、まくしたてる清春には動じないようで。
「相手は千明ちゃんなのよ、なにが不足なの。贅沢な子ね」
「千明の問題じゃないわ!
相手が誰でも、私は私の決めた人生を生きるの!
誰の指図も受けないんだから!!」
「ハルちゃん。あんまり聞き分けがないと、母さま怒るわよ」
にっこり笑っているのに、京子の声のトーンは確かに下がった。
それまで喚いていた清春の言葉が止まり、彼女は恐ろしさにびくりと後ずさる。
顔が菩薩なだけに、京子のプレッシャーは怖い。
_
最初のコメントを投稿しよう!