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端正な面立ちを渋くして、大きな躯に似合わず遠慮がちに口をひらく。 「…やはり、お嬢にはまだ早いかと…」 「なんですって?」 にっこりと笑って、無言の威圧。 顔が優しげなだけに京子のプレッシャーは大の大人でもビビる。 ひくりと顔を固め、銀次郎はすぐさま訂正した。 「いえ。旦那と奥方のご決断なら、間違いは無いのだと。 それに…坊ちゃんなら不足は無いでしょう」 ちら、と、銀次郎は後ろに控えめに立つ青年を見やった。 年の頃はまだ高校生の、随分綺麗な面立ちをした優しげな男が控えている。 銀次郎の切れ長の目はストイックな印象を持たせるが、彼はどこか中性的で年頃独特の爽やかな面持ちだ。 美少年だと大多数が賞するであろう青年。 _
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