確信

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この老人が未来の私ならそれも当然だが… 「何も無いんじゃよ。家で家族に尽くす事もなければ、これといった趣味もない。だから何を着ていいか分からんのじゃよ」 「はい…仰る通りです」 「家にいるだけの夫。愛を注いでくれない夫。そんな夫を必要とする妻と家族はおらん」 「…離婚…ですか…」 「そうじゃ。そして家を追い出され、職もないとくれば答えは分かるな?」 「ホームレス…」 「あぁ、そして今のわしじゃ。それがあんたの未来じゃよ」 何てこった… 信じられないが、なぜか納得できてしまった。 嫌だ…嫌だ… そんなの絶対に嫌だ… 数年後から私の人生は音を立てて崩れていくなんて。 何とかしなくては! 「わ…私はどうすれば?」   「そんな事すら分からんとは我ながら情けない…」 「……」 「家族を大切にしなさい。家族を愛しなさい。会社でやりがいのある仕事をしなさい。趣味を見付けなさい。そうすれば“何か”が変わるじゃろうて」 「なるほど…ですよね。そうですよね!」 ふ~っ   老人は深く溜め息を吐いた。  
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