道端の老人

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  これが今の日本か。 これが私の生まれた国か。 これが私の住んでる国か。 こんなものなのか… 私は老人に近付き、話し掛けてみた。   「おはようございます」 「……」   老人は私の顔をチラッと見て、すぐに顔を背けた。   「今日も寒いですね。サンドイッチと缶コーヒーいかがですか?」と言うと老人は奪うようにサンドイッチと缶コーヒーを取り、ガツガツ食べ始めた。   もしかして何日も何も食べてなかったのかな。 サンドイッチを食べ終えて缶コーヒーを飲み干すと、老人はようやく声を発した。 「同情か?」と言った老人の声は想像通りガラガラで、聞き取りやすいものではなかった。  
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