1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「同情かと聞いとるんじゃ」と老人は声を凄めた。
「分かりません…ただあなたと話がしたかったので」
「あんたの目は他の奴等とは違うようじゃな。あんたはいくつじゃ?」
「私ですか?私は47歳ですが…」
「わしは55ぐらいかと思っとったわい。あんたも苦労しとるんじゃな」
「確かに歳のわりには老けてるかもしれませんね。あなたはお幾つですか?」
「わしは63ぐらいじゃよ。正確な歳など分かりゃせんわい」
63歳!?80歳ぐらいかと思ってた…
「いつも道端に座っておられますが、何をしてるんですか?」
我ながらよくこんな不躾な事を言ったもんだ。
「何をしてるか!?ふっ…見てるんじゃよ」
「見てる…」
「日本を見てるんじゃよ。そしてあんたも“わし”とゆう“日本”を見とる」
「なるほど…難しい事を仰るんですね」
「何にも難しくなどない。感覚の話じゃ」
この老人は何となく時を過ごしてるんではなく、何かしら感じてるんだよな。
そりゃ生きてるんだから当たり前だが、この老人からあまりにも生気を感じられなかったから…
最初のコメントを投稿しよう!