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自分自身
「まさかあなたは!!」
「わしはあんたじゃよ。未来の自分を見とるんじゃ」
この老人が言ってる事を理解するまでに、かなり時間がかかった。
そんな現実離れした話を言われたところで、どこの誰が納得できようか?
「そんなの信じ…」
「信じるか信じないかはあんたの自由じゃ」
今の私は恰幅がよく、体重は80キロ以上ある。
でもこの老人はどう見ても50キロそこそこしかない。
顔なんか痩けて骸骨に薄い肉を貼り付けた感じだ。
私とは似ても似つかない風貌。
声だって全く違う。
共通点は潰れた耳と額の傷跡と老け顔の3つ。
ゴクリ…
唾を飲む音が耳に伝わる。
老人は頭をボリボリ掻いて、フケをあたりそこらに撒き散らしている。
私は目の前で座っている老人を自分と認めたくないだけなのか!?
本当は気付いているのか?
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