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確信
「あんた…会社つまらないじゃろ」
「……」
「わしに隠すのは無意味じゃよ。わしはあんた自身なんじゃからな」
「そうですよね…やりがいは無いに等しいです」
確かに今の会社では充足感の欠片もない。
家族がいなければ間違いなく辞めているだろう。
「今から数年後にあんたはクビになる」
「わ…私が!?クビに?」
「会社もあんたを必要としとらんかったって事じゃ」
「クビ…クビ…」
「ブツブツうるさいのぅ。話を続けるぞ」
「はぁ…」
何だか全身の力が抜けてしまい、私は老人の隣に座った。
「その歳での再就職はどうか少し考えれば分かるじゃろ。バイトなどもってのほかじゃ」
私は視点が定まらず、目を右に左にと落ち着き無く動かしている。
「あんたから仕事を取ったら何も残らん。家族さえもな…」
「何もって事は…」
「今のあんたの格好が全てを物語っとる。何でスーツなんじゃ?たかがコンビニじゃろ?」
言葉も出ない。
全てを見透かされている。
まるで全裸で人々に晒されてるかのような感覚だ。
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