第一話 シア、大地に立つ

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幼い頃の思い出は、割と穴が多かったりする。誰と遊んだとか、どんな遊びをしたとか。 大抵は何か連想する材料が無いと思い出さない。 人間の記憶は曖昧だ。 僕にとってその筆頭とも言えるのがここだった。 公園の奥、あまり人が来ないそこに一本の大きな木が生えている。幼い頃に、僕はここで倒れていたらしい。『らしい』というのは、僕自身にその記憶が無いからだ。何故ここに来て、何故倒れていたのか、それは僕にすら分からないのだ。 まぁ多分、ここで貧血でも起こしたとか、そんな程度の話だと思う。 今まで一度も貧血なんて経験した事はないんだけど。 さて、問題は、何故僕は今ここに来ているのか? 今日は姉から早く帰るように言われたので、学校が終わってから寄り道せずに帰るつもりだったんだけど・・・ うーん、何故来てしまったのだろうか?実はここに埋蔵金が埋められていて、でも僕が掘ったら埋蔵金ではなくMY雑巾が出てくるとか? あはは、くだらないな♪ その程度じゃ立派なお笑い芸人なんて遠い夢だね♪別に目指さないけど。 それにしても、立派な木だな。きっとこの木は今まで沢山の人を見てきたのだろう。例えば、僕が倒れた原因とか。 つまり、証人はこの木だ。 何も聞き出せないけど。
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