第一話 シア、大地に立つ

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「高村彼方、よい名前だろう?私はその人に用があるんだ。知らないか?」 「・・・・・・えっと、」 高村彼方。あぁ知ってるさ。その人の事を、僕はよく知っているさ。 内心、もしかしたらって気も少しはしてたよ。でもね、それはベタだと思ってさ、頭の中で否定してたよ。 まさかビンゴだとは思わなかったよ、本当に。 何か頭がクラクラしてきた。 「そういえば、まだお互い名乗っていなかったな。 私はシアディルフィア、長いからシアで構わない。 それで、君の名前は?」 ・・・何か、答えずらい。でも名乗ってくれた相手に対してこっちだけが名乗らないのは、無作法だと思う。でもなぁ・・・ 「名前が無い訳ではないのだろう?名乗らないのなら、こうするが?」 いつの間に取ったのか、シアさんの手に握られていたのは、僕の生徒手帳だった。胸のポケットに入れてたはずだけど、抜き取られた感触はほとんど無かった。プロのスリですか? 「どれどれ・・・何だ、立派な名前ではないか。高村彼方か、良い名前だ・・・な・・・・・・」 あぁ、気付いてしまった。ついに知られてしまった。 そうです、今さら自己紹介になりますが、僕が高村彼方です。
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