3724人が本棚に入れています
本棚に追加
「高村彼方、よい名前だろう?私はその人に用があるんだ。知らないか?」
「・・・・・・えっと、」
高村彼方。あぁ知ってるさ。その人の事を、僕はよく知っているさ。
内心、もしかしたらって気も少しはしてたよ。でもね、それはベタだと思ってさ、頭の中で否定してたよ。
まさかビンゴだとは思わなかったよ、本当に。
何か頭がクラクラしてきた。
「そういえば、まだお互い名乗っていなかったな。
私はシアディルフィア、長いからシアで構わない。
それで、君の名前は?」
・・・何か、答えずらい。でも名乗ってくれた相手に対してこっちだけが名乗らないのは、無作法だと思う。でもなぁ・・・
「名前が無い訳ではないのだろう?名乗らないのなら、こうするが?」
いつの間に取ったのか、シアさんの手に握られていたのは、僕の生徒手帳だった。胸のポケットに入れてたはずだけど、抜き取られた感触はほとんど無かった。プロのスリですか?
「どれどれ・・・何だ、立派な名前ではないか。高村彼方か、良い名前だ・・・な・・・・・・」
あぁ、気付いてしまった。ついに知られてしまった。
そうです、今さら自己紹介になりますが、僕が高村彼方です。
最初のコメントを投稿しよう!