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突然、両手で俺の頭を掴んで、もの凄く注視された。いや、そんな大層な顔はしてないですよ?見ての通り毎日を慎ましく生きてる、何処にでもいる、ただの高校生なんですよ?
シアさんは僕の顔を見つめて、しばらく考え込んで、また見つめてを繰り返していた。そして最後に僕の右手を見ていた。何で右手?
「もう一度確認するが、君は高村彼方で間違いないな?」
「はい。間違いなく本人です。」
「そうか、ならば・・・」
そういえばシアさんって僕に用事があるんだった。まだ面識もないのに何なんだろう?
あっ、姉から早く帰るように言われたのを、完全に忘れてた。
「高村彼方、私は今日から、君の伴侶になる。」
・・・・・・はい?
「先祖同士の約束とはいえ、守らねばならないのは道理だ。」
・・・・・・はぁ。
「光栄に思え。今この瞬間、君の将来は約束されたぞ?」
「いや、ちょっと待って。」
「む、どうした?」
「とにかく意味が分からないんですけど?伴侶って何?」
「ふむ、彼方は伴侶の意味も知らないのか?伴侶とは・・・」
「いや意味は知ってるよ。そうじゃなくて、何でそんな話になってるの?」
そんな、今から人生の墓場に一直線なんて意味が分からない。
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