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長い廊下を、僕達は歩く。そこは魔王の城に相応しく・・・なんて事は無かった。割ときれいに清掃された廊下、窓の外は青空が見えた。
「シア、ここって魔界だよね?悪魔が沢山いる魔界だよね?」
「当然ではないか。」
いや、イメージとしてはもっとこう不気味な感じを予想していただけに驚いた。
「仕方ないな、窓から外を見てみるといい。」
シアと一緒に、窓から城下町を眺めてみる。特におかしな事なんて無いように見えるけど・・・
「ほら、野良猫に魚を盗まれて慌てたゴブリンが走っているではないか。おや、裸足だな?」
「・・・あれはサザ○さんとかそんな名前かな?」
「そこまでは知らない。あそこでは電気屋のグレムリンが値切ってきた客と必死に交渉しているな、楽しそうだ。」
いや、確かにここは僕の暮らしている世界とは違うみたいだけどね、何でこんなに穏やかなの?
もしかして世の中って案外平和なのか?それとも人間が物騒過ぎるのかもしれない。
「要するに、人にも悪魔にも邪悪な意思はあるという事だ。種族全てがそうとは限らない。」
「なるほど、納得したよ。」
その言葉に、シアは笑っていた。その笑顔の意味を、僕は後に最悪の形で知る事になる。
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