第八話 いい旅魔界気分

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「彼方様っ!!」 突然、声をかけられた。気付けば僕は物置部屋に立っていた。 「文月・・・?」 「彼方様、大丈夫ですかっ!?」 いつの間に部屋に入って来たのだろうか、文月はいつもと違って何処か焦っていた。 いや、待て。僕はいつこの部屋に入って、そしてここで何をしていたんだ?そもそも部屋に入った後の記憶が曖昧だ。 「彼方様、お体は大丈夫なのですかっ!?」 「えっ、えっと、うん、特に何もないけど?」 「そうですか・・・っ、いえ、彼方様、その目はどうしたのですかっ!?」 「目?」 そばにあった手鏡で目を確認してみると、絶句してしまった。僕の目は金色に染まっていたのだ。 いや、何だこの違和感。右目だけが金色に染まっているという不思議な状態に、何故こうも僕は驚いているんだ? だってこの目は・・・ 「くぅっ・・・!!」 「彼方様っ!?」 何だ、今僕は何を考えた。何故こんなに頭が痛む。そして何故、僕はこの色を当然と考えているのだろうか? 「シアお嬢様に報告を・・・」 「文月、待って。」 シアの元に行こうとしる文月を止めて、僕はもう一度手鏡を眺める。そこにはいつもの黒い瞳が映っていた。 「シアには、言わないで。」 「・・・しかしっ!!」 「少し、考えたいから。」 その一言に文月は根負けしたのだろうか、それ以上は何も言おうとはしなかった。
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