第九話 シアの昔話

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今思えば、私達はかなり幸せだったと思う。だから私達は、一番忘れてはいけない事を忘れていた。 いや、一番忘れていたのは、この私だった。私は愚かにも、自分の立場を忘れて、そして自分の気持ちを知って絶望した。 その結末は、悲劇だった。 今でも思い出す度に、自分の頭を砕いて死にたくなる。 私が彼方に出会い、分不相応にも恋心を抱いた結果、私は大切な姉を失い、その罪から逃れるように彼方の記憶を封じた。 なんて、不様。 そう、不様。不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様不様の極みっ!! だから私は覚悟を決めた。私の罪は私が背負う。姉を失い、彼方の記憶を封じた私の償い。 私は彼方の永遠の奴隷。愛して欲しいとも思わないし、捨てられても構わない。犯されても殺されても、それを受け入れる。例え彼方が他の誰かを愛したとしても、私は受け入れる。 私の体、魂の全て、髪の一本、爪の一欠片までも彼方に捧げる。 だから、彼方。 立場だけの伴侶よ。 愛しき君よ。 どうか永久の幸せを。 どうか幸せな夢を。 そして私に 贖罪を・・・
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