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未だ呆然とするアタシにチトセが話し掛ける。
「髪、随分伸びたな…。」
その声は震えていた。
「…あれから切ってないから…。」
アタシの声もきっと震えているのだろう。
「何度も切ろうとしたんだけど、どうしても切れないの…。」
この胸から溢れ出す気持ちはそれを上手く言葉に出来ずに、喉で詰まって口に出せない。
「切ってしまえば、全てをなかった事にするようで出来なかった…。」
もはや涙でさえもアタシの邪魔をする。
チトセの姿が滲んで見えない…。
この目はチトセを見詰めていたいのに。
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