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楚々として見えながら、ヴェネッタの心構えはさながら鋼鉄だ。筋が通っている、と言えばいいのだろう。
望めば政界に座を置くことを許され、否、寧ろ歓迎され、高い地位を掌握するに違いない。
「ですから皇女様がお時間をかけて、お勉強を身に着けて下さるのは、教育係としてとても喜ばしいことですのよ。ですけれど、何だかそれも憂いあってのことのように思えてなりませんの」
「そうなの? ラキタス」
ヴェネッタの話を聞き終えてからラキタスに茶器を出す教養深いレンシェに、騎士は軽く頭を下げてから答えた。
「うん、まあね。それでグーウィン夫人に教えて頂く教養とかにも、限界があるだろ? だから、どうしたらいいかと思ってさ。やっぱり、こういうことは、そっちに統計した者同士で話した方がいいんじゃないかと思ったんだ。だから連絡しないで私宅{こんなとこ}まで来ちまったんだ。ごめんな」
「だいじょぶ。でも、よく、分かったね。わたしのお家。仮住居{かりずまい}なのに」
スリーアナ国は、高く聳える本宮を、三重の防壁が囲むような造りになっており、その更に周囲に城下町が広がっている。
本宮を囲う防壁は、それ自体が連なる集合住宅となっており、城に出入りする者達の私宅として構えられている。
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