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「あぁ、そうか。だからか!」
やっと得心がいった風のラキタスに、レンシェはくすくすと含み笑う。
「ついでに言っちゃうと、女官さん達、ラキタスのこと、気になってるみたいよ?」
「何で?」
「やっぱり異国の騎士って、見慣れてないから、かっこいいもん。何よりラキタス自身、かっこいいし」
ラキタスはにやつきながら微かに顔を背けた。
「別に俺は、かっこいい騎士じゃないけどな。シェルヴィスの方が断然かっこいいってのに、目が肥えないのが凄いや」
レンシェは小さく吹き出した。
「シェルヴィスは、恐れ多くて長時間、拝んでられないんだって。よく分かんないよね」
「あら、そうですかしら」
小首を傾げ、ヴェネッタが言う。
「実際にお会いしたことはありませんけれど、シェルヴィス皇太子殿下は、それはそれはお美しく尊い、猛々しきお方と聞き及んでおりますわ。身近にシェルヴィス殿下をご覧になっているなら、胸がドキドキしても仕方ありませんわよ」
「夫人も、シェルヴィス殿下には、お心を奪われてしまわれますか?」
ラキタスの無粋な質問に、ヴェネッタは微笑して答えた。
「それはきっと、一時の迷いでしょう。わたくしはグーウィン家に嫁いだ身ですもの」
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