6.それぞれの変化

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 レンシェは首を捻っている。まるで自覚がないらしい。  尤も、あまりそれを自覚されて鼻の先にぶら下げられても、付き合い難くなるだけだ。  「それにしても、レンシェと話すの、随分久し振りだな」  「ん、だね」  「考えてみたら、あんま俺達だけで話したことないんだよな。何でだ?」  「忙しかったから、じゃないかな」  当たり障りのない返答に、ラキタスは内心で眉を寄せた。  平素ながら、レンシェは何を考えているのか相手に読ませない。  (覚えてるのか、そうじゃないのか……。カマかけても躱されそうだけど……)  「なぁ、レンシェ。半年前、レンシェは何してた?」  きょとん、と宵闇の眸が丸くなる。  「スリーアナにいたよ」  「本当に?」  レンシェは口元に運んでいた茶器を置き、真摯な眼差しでラキタスを見据えた。  「連絡なく来るから、何か話したいこと、あるのかなと思ったけど。思い出したの?」  逆に訊かれ、ラキタスは戸惑った。  「えぇと、うん。思い出したって言うか……思い出させられた?」  レンシェが眉宇を寄せる。  「思い出させられた?」  「──俺、会ったんだよ。シュトラウスに」  レンシェの表情が凍り付いた。
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