6.それぞれの変化

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 「シュトラウスに? いつ!?」  「えっ? よ、8日前の夜」  「……何で、わたしには……」  今度はラキタスの表情が凍った。  「レンシェには会いに来てないのか?」  「………うん」  レンシェは灰銀色の髪を掻き上げた。  「でも、そっか。やっぱり……」  「やっぱりって?」  「シュトラウス、ラキタスのこと、すごく気に入ってたから。真っ先に会いに行ったのかな、って」  ラキタスは碧眼を屡叩{しばたた}かせた。  気に入って貰うのは大変結構なことだが、彼にそこまで気に入られるようなことなど、しただろうか。  どちらかと言えば、ロゼウィンを討つ旅の間シュトラウスは、シェルヴィスを気に掛けていただろう。  「あ、変な意味じゃないよ、勿論」  沈黙をどう解釈したのか、レンシェが焦ったように言う。  「そういう誤解はしてないから。……レンシェは? レンシェは思い出したのか? それとも、覚えてた?」  「……覚えてた。それ、役目だから。わたしの。わたし、覚えてる、色んなこと」  円やかに膨らむ胸に手を宛て、レンシェは瞼を下ろす。  「本当に色んなこと覚えてて、すごく……幸せ、かな」  「……よかった」  ラキタスは優しく微笑した。
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