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深々と溜息を吐くシェルヴィスに、クィティナは艶めいた角度で首を傾げた。
「如何なさいました?」
「いや……。まこと、そなたらには苦労をかける。如何で贖えば良いか、とな」
クィティナは艶っぽく紅唇を微笑ませた。
「別に苦労してるなんて、思ってないわよ? わたしもお父様もシェルヴィスが大好きだから、貴男の力になりたいというだけ」
「……すまない」
「そんなに暗い顔ばかりしていたら、治るものも治らないわ。病は気から。しっかりなさいな」
クィティナの心優しい艶笑に、シェルヴィスも自然な微笑を返した。
「そうよな。父上の補佐を担う者として、気弱なるは愚かよ」
「そこまでは言っていないのだけどね」
クィティナはシェルヴィスの寝台の傍らに椅子を寄せ、そこに腰を下ろした。この西離宮に運び込まれている漆塗りの椅子は、皇太子が着席するには、あまりに固いと言える。
「具合はどう?」
「一進も一退も。したが、強いて言うなればそろそろ腰が痛い」
2ヶ月も寝たきりでは、凝り固まって当然だろう。
「気分転換でもする? 西離宮の裏庭なら、国民の目に触れることもないわ」
「……いや、良い」
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