7.先を憂う者

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 懶{ものう}げに首を横に振ったシェルヴィスは、しどけなく寝台の頭板に凭れた。  眉間に皺を刻んで額を押さえる様子は、明らかに体調が良くない様相である。  クィティナは臆することなくシェルヴィスの頬に手を添えた。驚いたような視線が、クィティナに向く。  「相変わらず、熱はないのね。それだけに辛いのかしら」  「……さて。単なる眩暈だ」  気にするな、と言いたげに手が振られる。  「ねぇ、シェルヴィス?」  厳しく柳眉を寄せて、クィティナが勘繰る様子を見せた。  「貴男本当は、何か原因に心当たりがあるのではなくて?」  「何故ぞ」  「誤魔化しても無駄よ。話は聞いているわ。レンシェが地下書物庫の医学書にも手を伸ばしたがっているのに、拒否したそうね」  「……それのみを根拠として申しておるわけでもあるまい?」  「そうよ。貴男の態度、また昔の貴男みたいになっているわ。他人を遠ざけて、1人になろうとしてる。まるで孤独を謳歌するように」  シェルヴィスの唇がうっすらと嗤笑を刻んだ。  「孤独を、か……。願い下げだな」  クィティナは自らの失言に気付き、はっと口元に手を宛てた。  「ごめんなさい。そんなつもりは……」
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