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懶{ものう}げに首を横に振ったシェルヴィスは、しどけなく寝台の頭板に凭れた。
眉間に皺を刻んで額を押さえる様子は、明らかに体調が良くない様相である。
クィティナは臆することなくシェルヴィスの頬に手を添えた。驚いたような視線が、クィティナに向く。
「相変わらず、熱はないのね。それだけに辛いのかしら」
「……さて。単なる眩暈だ」
気にするな、と言いたげに手が振られる。
「ねぇ、シェルヴィス?」
厳しく柳眉を寄せて、クィティナが勘繰る様子を見せた。
「貴男本当は、何か原因に心当たりがあるのではなくて?」
「何故ぞ」
「誤魔化しても無駄よ。話は聞いているわ。レンシェが地下書物庫の医学書にも手を伸ばしたがっているのに、拒否したそうね」
「……それのみを根拠として申しておるわけでもあるまい?」
「そうよ。貴男の態度、また昔の貴男みたいになっているわ。他人を遠ざけて、1人になろうとしてる。まるで孤独を謳歌するように」
シェルヴィスの唇がうっすらと嗤笑を刻んだ。
「孤独を、か……。願い下げだな」
クィティナは自らの失言に気付き、はっと口元に手を宛てた。
「ごめんなさい。そんなつもりは……」
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