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ある日、女性の惨殺体が発見された。
全身、主に腹部をメッタ刺しにされており、完全な他殺体だった。
しかし、奇妙な点があった。
現場に落ちていた凶器の包丁からは、被害者の指紋しか出なかったのだ。
それも死亡推定時刻ギリギリまで握り締めていた痕跡すらあった。
でも、それは人間には不可能なことだった。
自殺にしても、そこまで自分を痛め付けることは出来ない。
それに、躊躇い傷などは一切なく、明らかに殺意を持って包丁は振られていた。
捜査は暗礁に乗り上げた。
かのように見えた。
しかし、被害者の通っていた病院の医師の証言により、事件は急展開を迎えた。
結末は容疑者死亡。
医師の証言はこうである。
「彼女は、二重人格であった」
しかも、1人1人の自我が独立しており、2つの意志が共存していた。
つまり、1人で2人だった女性は、片方を殺すほどの揉め事を起こした。
そして、包丁を憎き相手の腹へと刺した。
何度も、何度も。
彼女は13歳だった。
最後に警察の捜査資料を。
『ХХ市 自殺殺人事件
被害者は腹部等、数十箇所を切りつけられ死亡。
容疑者は、同時刻、自らの腹部等を数十箇所切りつけ死亡。』
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