想いは遥かに遠く深く

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そこは、寒くて、冷たい。 なによりも、寂しい場所。 日が明けても、暮れても、泣いた。 声を上げて泣いた。 引き離された幼い子供を思い、泣いた。 愛しい彼を思い、泣いた。 父を愛し、その道を共に歩み果てた母を思い、泣いた。 そして、全ての始まりである父を思い、泣いた。 このまま、躯が水になればいい、と泣き続けた。 側に居て欲しい者達が居ない。 その淋しさに胸が押し潰されそうになる。 星を詠むこともやめた。 夜空を見ると辛いことしかない。
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