誘惑

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2億円という額が あまりに馬鹿らしくて 『僕』は聞きなおしてしまった。 男は真顔で 話を続ける。 「兄さんには酷な話には なるんだがな… 世の中には金を持った 狂人がいるんだよ」 『僕』は少しずつ この男の巧みな話術に 引き込まれていった。 「まあ簡単に言えば 2億円やるから 殺させてくれ、 っつう話だな。」 『僕』は唖然と話を聞く。 何故か不思議と 魅力的な話のように 『僕』には聞こえた。 殺されるだけで 2億円…。 悪い話じゃない…。 この時の『僕』はどうかしていたのだ。
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