誘惑

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『僕』は熱燗を大きく一口 注ぎ込んで言った。 「それだけで 2億円ですか?」 男は『僕』が話に乗ってきたのに気付き笑みを浮かべた。 男は言う。 「ただ死ぬ、ってだけじゃ ないんだがな」 男は焼酎をぐっと飲んで 言葉を続ける。 「死に方は苦しめば 苦しんだだけ もらえる金額は 跳ね上がる」 男は『僕』の反応を確かめながら、ゆっくりと説明していった。 「前金で1億円。 その一ヶ月後に 迎えが来る。 そして死んだ後に 指定した遺族の元に もう1億円と 苦しんだ分の ボーナスが送られる」 『僕』は煙草に火をつけた。
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