混沌

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プルルル… 携帯の呼出し音が聞こえる。 『僕』は携帯を耳にあてたまま空虚な眼で部屋を眺める。 手にしたかったのは こんな景色じゃあない。 そう考えた時に 携帯に男の声が響いた。 「もしもし… 答え出すの早かったね」 『僕』は言った。 「返事…何て言うつもりか 分かってるような物言いですね」 男は受話器ごしに 笑って言った。 「あぁ。 やるんだろ? 兄さんの命… 2億円で売るんだろ?」 『僕』は力無く笑って 男に言った。 「えぇ。 僕の命… 2億円で 売りますよ」
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