拳の中

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三谷原「でりやぁぁあ!!」 俺は強くなろうとした バカみたいな話だけど、俺の人生を変えた瞬間だった 俺の人生はあの人で始まり――― あの人に追い付く事で終わる――― その 《夢》は 《目標》は 《意味》は  確かに俺の手の中にあり  強く握り締める事で近付けると信じて止まなかった 三谷原「出てきやがれ!!この糞バカ野郎!!」 「おっ……マジか!?」 「遂に来た!?」 不良共がざわつき始める ゆっくりと人混みの中に一本の道が出来る 「おい…おい…。強ぇ奴が居るって聞いたんだが……俺の見間違いか?」 大海を裂く如く―― 人海を裂き―― 現れたのは巨体にゴツイ体 顔には斬り傷が走る 首都西高校――― 《内定組》四強の一角  そびえること    白城(はくじょう)の如し 《真城鹿波(ましろ かなみ)》   その者である 「ま、真城さん!!」 真城「ガキが混じってるのは俺の見間違いか?おい?」 その鋭い視線が不良共を突き刺す 正しく“レベル”が違う 纏う迫力が髄を抜く 真城「おい、ガキ」 三谷原「ガキじゃねぇ!!俺には立派な三谷原優と言う名がある!!」 真城「カッカッカッ!!勇ましいねぇ!?そんじゃ……三谷原くん……」 グイッ 近くにのびている不良を持ち上げる そして、投げの構えに入る 真城「落とし前つけて貰おうかぁぁぁあ!!!」 飛来するのびた不良―― 三谷原「人投げって、有り得ねぇだろ!?」 文句を吐きながらも下半身に力を込める 左足を二~三歩引く そして、下半身に溜めた力を――体を捻り、腰を基点に――解き放つ 三谷原「ッ―――!!」 ズガッ 鈍い音と共に炸裂―― だが、流石に人一人を蹴り飛ばすのは無理だったようで 三谷原「糞重てぇ!!」 蹴り飛ばすには至らなかった 三谷原「だったら!!」 蹴り上げた足を不良へ接触させたまま 三谷原「だらぁぁあ!!」 後ろへ倒れ込み、進む不良の勢いを後方へ流す 柔道で言う《ともえ投げ》 三谷原「ふっ―――」 倒れた体勢から腹筋に力を入れ、脚と腕の振りを利用し飛び起きる 瞬間―― ズシッ 三谷原「ガハッ―――」 鈍い衝撃が腹部を襲う 真城鹿波の右ストレートが炸裂した 真城「未だのびんなよ?」 ニヤリと笑みを浮かべ、三谷原の頭を鷲掴みにする 真城「だらぁあ!!」 ソフトボールを投げる様に投げ飛ばした
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