出会い

2/3
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
走る。ひたすら走る。昨日買った服は泥まみれになり、お気に入りの靴は何度も水たまりに入り、もう、ぐしゃぐしゃだ。それでも走り続ける。いや走りを止めてはいけない。 そう、私は追われているのだ。何で追われてるのか皆目見当もつかない。いや、心辺りはある。私の親の事だろう。私の父は地元では有名な地主で金融業的な事をやっている。それも有り得ない金利での金貸しだ。だから今、私を追っているこいつらはその娘である私を誘拐し金をせしめるか、もしくは自分の借金を帳消しにしろとか言うのであろう。 「だからって何で私がこんな目に」 今日は厄日だ。いつも付き添ってくれる友達は彼氏とのデートとやらで私との約束をドタキャンし(男なんかのどこがいいんだろう?あんな低俗で野蛮で自分の事しか考えない奴らなんか。あのクソ親父もそうだし、それに群がる奴らを見てれば分かる。あんな理知的で傲慢な振る舞いしか出来ない奴らの何がいいんだろ!!)一人ふらふらと歩いてたら急に追いかけ回され… 「しかも雨まで降ってくるし!」 この世の中には搾取する者とされる者がいる。とはあのクソ親父の口癖だ。なら今の私はなんだ。このままだとこいつらに捕まり、あんな事やこんな事をされ、下手すりゃ殺される。これは搾取される方だよな。間違いなく。 「そんなの絶対!嫌だ~~~~!!!!!」 叫ぶ。が誰も聞いてくれない。こんなに必死に逃げてる人がいるのに誰もが無関心だ。みんな自分の事しか考えてないんだ。みんな我関さずなんだ。そうだよな。得体も知れない女が男に追いかけられたって誰もが興味ないよな。いや実際私がそんな状況を見たら多分シカトするし。 「今度見ず知らずの人が追いかけられてたら、私が助けます。だから神様助けて!」 神頼みするようになったらおしまいだな。フッと我にかえる。 その時…
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!