プロローグ

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   午後からは、大荒れに荒れた天気となった。 「天気予報の言う事など信用できない」と思い出したのは、いつ頃の話だろうか。  サクライ チカ  桜井 知香は窓の外を眺めながら、ガラスを滴り落ちる雨の滴を目で追うのに飽きてしまっていた。  鬱々とした日々のストレス解消に、昨夜は徹夜でドラマのDVDを鑑賞していた。 おかけで、今の眠さもひとしおである。  休みの日のことであるので、寝ようと思えば寝ることもできるのだが、何故だか体に反して心は冴えていた。  その時、知香はふと思った事があった。 人生の哲学を見い出したと言っても、過言ではない。 “ひょっとして私は、何をしていても誰といても、一生寂しいに違いない。一生埋められない、この理由すら分からない孤独を持って、笑顔を作っていかなければならない……”  彼女の家の電話が鳴り響いたのは、そんな時であった。  
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