月曜日(2)

13/13
5538人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
  正直うんざりしていた。 解放されたいと思っていた。 それをどうして、この人が知っているのだろう? 誰にも言わず、ひっそりと隠してきた正直な思いを、どうしてろくに話した事もない、こんな雲の上の人が知っているのだろう?  ──でも、私は…… 知香はゆっくり顔を上げた。 写宮の顔は逆光でよく見えないが、その目には他の人間にはなかった、彼女を救おうとする光があった。 知香は今、切実にそれを欲していた。 そしてそれに向かおうと、無我夢中に手を降りかざした。 「助けて下さい」 知香は深々と頭を下げ、手をまっすぐ前に伸ばして握手を求める格好をした。 「私、償いたいの」 「君は、償わなきゃいけない事なんかしてないでしょ」 「──ううん。……たとえ嫌な思い出ばかりでも、有紗は友達だった。それは紛れもない事実なの。その友達が死んでホッとするなんて、私こそ最低だ。だから、その気持ちを償いたい」 「…………」 「有沙を殺した犯人を探したい。協力してほしいの。私は真相が知りたい!」 写宮は肘をついて寝ころんだまま、知香を見ていたが、 「じゃあ、お礼に毎日、学食の牛乳買ってね」と、微笑んだ。  
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!