月曜日(3)

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   荒井 吉光はぼんやりと、目の前のクラス名簿をめくっていた。 ぱらぱらとページをめくる手が、ぴたりと止まる。  2年C組──。 彼は机に両肘をつき、もたれかかるようにそのページを凝視した。 ゆっくりと、指で生徒の名前をなぞっていく。 止まった指の先。 ──穂崎 有紗の名前があった。 「何か信じらんないよなぁ……」 荒井はぽつりと呟いた。  彼は昨日の昼間の事を思い出して頭を抱えた。 彼は今年で三十四歳になるが、あんな光景を目にしたのは初めてだった。 教師になってもう十年。この学校に配属されたのは、もう四年も前の話だ。 その四年間の間に、色々な問題を目にして来たが、今回のは一番最悪と言って良かった。 「大丈夫ですか?荒井先生」 声がして、コトリと目の前に、湯気の立つ湯飲みが置かれた。 「ご自分の受け持つクラスの生徒が、こんな事になって……、本当に残念な事ですね」 ヤスダ シズカ 安田 静は、眉間にしわを寄せ、もの悲しい目でそう言った。 手には目の前の熱茶を運んだらしい、お盆を抱えていた。 「はぁ……。本当に……」  荒井は深いため息を付き、お茶をすすった。 「犯人……。早く捕まるといいですね……」  
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