Thanatos

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死のうと思った。 ただ漠然と、死のうと思った。 薄暗い部屋のベッドの上で、俯せに体を丸くして、枕に顔を埋めていた。 なんで自分は呼吸しているのだろう。 まずそこからして、分からなかった。 分からないのはそれだけじゃない。 どうして自分が生きているのかすら、分からないのだ。 生きている証拠などどこにあろうか。 お前はそうして呼吸して、心臓の鼓動を聞き、汗をかき、まばたきをし、頭で考え、苦悩し、怯えているじゃないかと言われても。 ――それが、生きていることと何の関係があるというのだろう。 生きていることと死んでいることを分かつ物とは、一体何だろう。 分からない。 自分には、分からない。 皆には、分かっているのだろうか。 だから、生きていることを望むのだろうか。 だから、死を恐れているのだろうか。 もし自分が生きていることになっているのなら、間違いなく今、自分が死を望んでいることは確かだ。 いや、死んでいることになりたいのだ。 でもそれは、暗闇と布団だけでは実現できない。 だから、考えているのだ。 どうやったらいいのかを。
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