発端

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渉(わたる)が学校に着いたのは三時間目が始まってからだった。 遅刻の報告をしに教員室に行って担任を探した。 生憎、担任は授業なのかいない。 学年担当の深見先生に遅刻の理由を告げることにした。 「先生、お早よう御座います」 「本多か、今頃まで何してた」 「実は…」 「言い訳はいいから教室にいけ」 「はい」 深見先生とは入学当初から相性が悪かった。 しーんと静まり返った教室に入るのは気まずかった。 前の扉から入ると一斉に視線が集まった。 「遅くなりました」 「早く座れ」 「はい」 周りの視線がおかしい…
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