序章

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窓から見えた流れる雲は さわさわと揺れているように見えた 時折 口からでる真っ黒な血は 私の手を真っ黒に染めた 死期が近づく 私は親の顔すら見たことがない 親は私に多大な保険金をかけて 私が死ぬのを望んでいた そんな親を見ると いつも思うの 早く死んだら 最後だけでも 愛してるって 言ってくれるの? もしも もう一度 生まれ変われるなら 私は 笑って 過ごしたいのです 私の願いを 聞き入れて 下さいますか? 神様 彼女の願いなど 聞き入れる者はなく 空に浮かぶ雲と 空を舞う鳥たちだけが 輝く光に反射して とても美しく見えた 「…………綺麗」 少女は ただ空を見つめ 願う 健康な体と 優しい家族を たとえ 無理だと分かっていても それは 無いからこそ 手に入れたくなる 少女は知らない ここが 物語の序章になっていることを……
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