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「もう…だめだ…」
声を発したと同時に、黒髪の少年がドサッと倒れた。
「大丈夫ですか?…行き倒れなんて珍しいですね」
音で気がついたのだろうか。
近くの家から少女が一人とてとてと駆け寄って来た。
髪は透き通る様な白。それと独特な雰囲気を漂わせていて………
なんというか、フワッとしている、とでも表現すればいいのだろうか。
とにかく不思議な雰囲気を醸し出す少女だった。
「え、ええ…なんとか。でも、もう何日も…なにも…飲まず食わずで…」
「まぁ、それは大変。ちょっと待っていて下さいね」
おっとした喋りで驚い………たのか?
またとてとて家に戻る。
そして…
「はい。クワです」
クワだった。
少女が差し出したのは、紛れも無くクワだった。
「………いや、そうじゃなくて…水を」
「あっ、お水ですよね。すみません、あたしったら。ちょっと待っていて下さいね」
また家に戻る少女。
そして…
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