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「ありがとうございます。助かりました」
「いえいえ。ところでこの町の方ではありませんよね?旅のかたですか?」
「それが…実はよくわからないのです」
「わからない?」
「はい…記憶がさっぱりで」
「もしかして…記憶喪失ですか?」
「…はい。きっと」
「では、名前も?」
「はい。覚えていないんです」
「名前ないと困りますよね」
「ええ」
「とりあえず、なにか決めた方がいいのではないですか?」
「…そうですね」
俯いて考える少年。
しばらくしてから少年は顔を上げて言った。
「うーん……ラグナ。
ラグナなんてどうでしょう?」
「ラグナさんですか…、いい名前じゃないですか」
一辺の曇りのない笑顔で微笑む少女。
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