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驚くひまも、逃げる時間もなく 瞬く間に、 なにかがはずれたように、切れたように 弟の体が、崩れ、落ち ゴトリ 固い、冷たい、熱い、無機質な地面に倒れた。 胸に何かが生えて 苦しそうに血を吐きながら 視線はずっとわたしの方だ 弟は、永久は、なにかを言っているらしく それでも言葉にならず、 ヒューヒューと掠れた音しか聞こえない。 わたしは、やっと理解して わたしの脳は、やっと動きだして それでも言葉はでてこない 心臓の音がやまない 心臓が痛い 呼吸が上手くできない 呼吸も心臓も永久から流れる出る血も なにもかもが早い 脳が熱く、それでいて冷たい 靄がかかったみたいにおかしい なんで なんで なん で ?
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