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「空音…?」
いつも聞いてる綺麗な低音も今は聞くだけで悲しくなる
「邪魔してゴメンね」
本当はそんなことが言いたいんじゃない。ただ、この場に居たくなくて、そっとカシスの胸を押し、カシスから離れた。
抱いていた黒猫を下へやり、僕は部屋を出た
カシスは追いかけることもしなかった
ただ出て行く僕をずっと見ていた
「空音か…」
「一将さん…」
僕は一将さんの部屋にお邪魔した
部屋の中は僕の部屋とは正反対な感じのシンプルでシックな大人な部屋だった。
白と黒で纏められている部屋の黒いイスに僕は座った。
「コーヒーで良いか?」
「はい、お気遣いなくッ」
一将さんはさっきまでコーヒーを飲んでテレビを見ていたようだ
テーブルの上には飲みかけのコーヒー、テレビはニュースが流れていた
「どうぞ」
「ありがとうございます」
白黒ボーダーなマグカップを僕は受け取った
用意された砂糖とミルクを1つずつ入れて一口飲んでみたけどやっぱり苦かった
「で、どうしたんだ?そんなに落ち込んで…」
「…」
「言いたくなければ無理に言わなくて良い」
「少し、ここに居させてくれませんか?」
自分自身の気持ちが落ち着くまで一将さんと居たかった
彼に迷惑をかけてるのは分ってるけど一将さんといると落ち着くんだ
「いつまで居ても構わないよ、彼も君の事が好きだしね」
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