Prologue

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城嶋大尉は一枚のメモ用紙に目をやって 「ああ、コレは報告書なんですが…… で、一昨日地元の一個小隊が偵察に出たんですが連絡が今朝になっても取れない、まあ、場所が場所ですからね、そのうち連絡が来るだろうと思っていたら、午前中に例の防疫給水部隊から緊急事態の恐れがあるから、国内の細菌研究者を連れて調査に出ろと催促がありましてね、小金崎博士、貴方をココに呼んだしだいです。」 小金崎はしばらく考える 「城嶋大尉、ここは村から何メートル離れていますか?」 「ええ、これも防疫給水部隊から指示が出ていましてね、集落から風上に、500メートル以上離れた所に指揮所を作れと言われていたんでその様にしています。 研究者が来るまでは偵察もしてはいけないし、村に近づくのもまかりならんと…… ああ、忘れる所だった、博士が来たらこの封筒を渡せと言われていたんだった……」 城嶋は机の横に置いてあるカバンから茶封筒を出し博士に渡した。 小金崎は封筒から何枚かのレポート用紙を読んで行くうちに振るえだす。 「何て事を……」 「なんです?」 小金崎はこの何も知らない大尉にどう説明したらいいか悩んだ、自分の判断一つで日本が、嫌、ひょっとしたら人類が滅ぶ事になると思ったからだ 「この他に何か書類はありませんか?」 「いえ?特に何も受け取ってやしませんが」 「解りました」 「今からこの部隊の指揮は私が取ります。命令書って言うんですか?それはコレでよろしいんでしょうか?」 小金崎は持っていた書類から一枚の紙を城嶋に渡し、椅子から立ちあがった。 「大尉、この国は滅びるかもしれません」
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