二人の自衛官

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田辺は自分が降下した地点から西に200メートル程離れた地点でやはり木にぶら下がった坂本陸士長を見つけた。 「坂本、お互いついてないな」 「ああ、田辺さん、チョット手伝ってもらえませんか?俺、右腕が上がんないんですよ」 「ああ、チョット待ってろ」 田辺は坂本のパラシュートが絡まる木にスルスルと登ると、パラコードを掴み、坂本を自分の方に引っ張った。 「今外してやるから掴まってるんだぞ」 そう言うと坂本を木の幹に掴ませるとナイフでパラコードを切ってやった。 「どうもすいません、落下の衝撃で腕を切っちまいまして……」 「取り合えず下に降りれるか?」 「ええ…… なんとか」 田辺は先に木から降り、坂本が降りるのを手伝ってやった。 「腕、見せてみろ」 坂本の右腕は、迷彩服の二の腕の部分が大きく裂け、そこから血が流れていた。 「すいません田辺さん、お互い本隊から大きく離れちゃったみたいですね……」 「嫌、そんなに離れていないだろ?精々2キロくらいか?そんなものだろ」 田辺は坂本の裂けた迷彩服の部分を見て、ため息を漏らした 「え、なんかまずいっすか?」 「いや、ただの裂傷だ、大分腫れてるが大した事はないよ」 田辺は自分のポケットからエイドキッドを出すと消毒をして止血帯を巻いてやった。 「なんか大げさですね」 坂本は包帯を巻かれた腕を少し動かして田辺を見た 「俺、田辺さんの後、一番最後に降下したんですがね、田辺さんが突風にあおられて凄い勢いで東に流されるの見てたんですよ、ああまずいなって思ったら自分も突風に巻き込まれちゃって…… 多分2キロどころじゃないっすよ、5キロから7キロ位離れてると思います。」 「たしかに凄い突風だったが、そんなに流されるか?俺たちゃ低高度落下してたんだ、そんな訳ないだろ」 田辺は腕時計に付いているGPS機能を呼び出そうとしたがGPSはエラー表示が出ただけだった 「さすがにここじゃあな」 「ココ、樹海っすよ、こんなに鬱蒼と木が茂ってちゃ無理ですよ」 坂本は胸のポケットからGPSを取り出し電源を入れた。しかしやはり表示はエラー。 「おかしいな?」
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